緊急地震速報の原理
日本は、地震の揺れを感じたことのない人はいないくらいの、世界有数の地震国です。
地震がおそろしい理由のひとつは、何の前ぶれもなく突然おそってくることです。
しかし、自分のいる場所が大きく揺れ始める前に、「もうじき揺れます」というお知らせがあれば、事前に身構えることができ、被害を減らすことができます。
気象庁では、もうじき揺れることをお知らせする「緊急地震速報」の一般向け提供を10月頃に開始する予定です。
「緊急地震速報」の仕組みを知ってどのように活用し対応していくかを数回に分けて解説していきます。
上の図を見てください。
地震の揺れは秒速数キロの速さで地面を伝わっていきます。 震源(図の×印)の近くで地震の揺れ(地震波)を観測して瞬時に解析し、より遠くの地域に揺れの到来をお知らせするのが「緊急地震速報」です。
地震波には特徴の異なる2つの波があります。早く伝わるけれど揺れの弱いP波(初期微動)、それより遅いけれど揺れの強いS波(主要動)です。
先にやってくるP波(初期微動)を震源近くで観測して、後でやってくるS波(主要動)の到来をより
遠くの地域へお知らせすれば、数秒から数十秒の猶予時間をもって地震の到来をお知らせできるのです。
□緊急地震速報にも限界があります
緊急地震速報は便利な情報ですが、仕組みからおわかりのとおり、次のような限界があります。
1 震源の近くでは情報が強い揺れ(S波(主要動)の到来)に間に合いません。
震源の近くの観測をもとに作成する情報のため、震源の近くでは緊急地震速報の提供が
間に合いません。
2 震度などに誤差が生じることがあります。この情報は早く伝えることを大事にします。
震源近くの少ない観測データしかない段階でも情報を作成しますので、予測する
震度などに誤差が生じることがあります。
今回は緊急地震速報の仕組みをお伝えしました。次回以降は、数秒から数十秒という短い時間に
自分の身を守るためにはどうすれば良いのかを具体的な場面ごとに見ていきます。
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