令和7年3月議会 施政方針

 本日ここに、令和七年第一回富士河口湖町議会定例会の開会にあたり、提出いたしました案件の主なるものにつきまして、その概要をご説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 さて、一月二十日のアメリカ大統領就任演説が、自国第一主義から始まり、国境警備の強化、化石燃料増産に向けた非常事態宣言や、高関税を外交上の切り札とする内容で、内外に衝撃を与えるものでありました。こうした状況でも、市場は落ち着いた値動きとなり、その週末、日本では、日銀金融政策決定会合で、賃上げの動きが広がり、経済と物価情勢の見通しの実現が高いとして、政策金利の引き上げが決定されたところであります。
 しかしながら、物価の上振れや日銀の考える賃金と物価の好循環のペースが、実質賃金の引き上げがゆっくりと感じられる実態経済と乖離することも考えられるため、町では、これまで実施してきた物価高騰対策支援事業に引き続き、住民の生活を守る経済的支援を継続してまいりたいと考えています。
 また、同二十四日に召集された第二百十七通常国会における首相による施政方針演説では、政策の核心は、「地方創生2.0」であるとし、肝となるのは物価上昇に負けない所得と経済全体の生産性の向上で、賃上げと投資による成長型経済を目指すとしています。 さらに、生産年齢人口減少社会での国づくりへ、転換が求められているとして、人を財産として尊重する「人財尊重社会」を築くことが必要としています。
 町でも人口減少社会での働き手の確保については、重要なテーマであります。当町への就業や移住定住を促進する施策としては、奨学金の返還を支援する補助金制度を創設いたしました。学生が教育を続けられ、優れた人材を育成する奨学金制度を、支援制度により補完する機能とともに、就業される方の生活費や住居費などの負担が軽減され、町への移住定住が期待されることで町内企業の人材確保、働き手の確保に繋がり、地域全体の発展に寄与するもの考えています。この他、「新築住宅建築等奨励事業」「移住支援金交付事業」など助成金制度による移住促進事業を展開しているところです。さらに、移住相談の専門職員「移住コーディネーター」の配置や移住セミナーの出展拡充により、Uターン・Ⅰターンなどによる移住、二地域居住者やリモートワークで就業を希望される方に興味を持っていただくことで人材を呼び寄せ、地域の多様化とともに更なる地域経済、社会の活性化を図ることが期待できるものと考えております。
 また、価値観の多様化は、求められるスキルの多様化でもあります。町役場においても、職員の採用について多様な人材を広く求める機会を増やすなどの工夫をしてまいります。併せて職員処遇や給与の適正化を図るべく、今定例会において、育児休暇や介護休暇の拡充と職員給与等の条例の改正や特別職の報酬あるいは議員報酬の見直しを図る条例の改正を提案させていただくこととしています。さらに人材希少社会にあっても、社会経済情勢を踏まえつつ複雑多様化する社会の期待に応えるべく、特別職の報酬等のあるべき水準を模索してまいりたいと存じます。
 さて、今年は戦後八十年、昭和で換算すると百年にあたる年であります。昭和二十一年に教育・勤労とならぶ三大義務の一つとして「納税の義務」が日本国憲法の公布により定められ、地方税法も地方交付税法も七十五年を迎えるところです。その間、時代の求めに応じて改正がなされ、地方経済を支え、地方交付税制度は地方公共団体への財政調整機能を果たしてきたところです。現在においては、「人生百年時代」「DXの推進」「人口減少社会」「society5.0」といった当時に思い描いた近代化とかなり変容したものとなっており、地方創生にあっては税制度の在り方や重要性はますます高まるところです。
 年末から議論されてきましたいわゆる百三万円の壁ですが、「手取りをふやす改正」は当初案より様相を変えつつその内容が見えてきたところであります。その減税効果による経済の活性化に期待する一方、今改正では、地方税の減税までは踏み込まず、地方交付税の原資となる所得税の減税についても、地方自治体の予算編成に影響がでないよう調整するとの説明がされていますが、今後も地方自治体への影響を注視していく必要があると考えております。
 さて、デジタル化は、映像や音楽のようにモノから情報として変わり、商品の販売は、インターネットによる配信や、巨大な倉庫からの配送など、店舗をもたない配売が行われ、消費される地域と税金を支払う企業の地域との実態が合わない現状となっています。一方、コト消費あるいはコト体験、トキ消費といった観光産業においては、やはり実態としての需要があります。このことから、これからも当町の地域の強みを生かす観光施策の展開が求められるものであります。
さらに、人口減少の影響は、地方間の財政力の格差を生じさせることが危惧されています。需要面で考えますと、人口減少による、経済規模の縮小に伴い、対住民に対するサービス量は比例して減少縮小するものと思われますが、教育やゴミなどに対するサービス、対面、対エリアに対する財政需要は同様に減少しないとされています。道路や水道などの住民だけが使うものでないインフラについては、行政エリアそのものがコンパクトにならない限りその財政需要は減少しないことになります。
 そして、文化遺産や観光資源とその地域のインフラを利用するのは住民のみではありませんので、産業の育成にあってはその財源を意識するところとなります。当町の観光の特徴は、世界文化遺産の保全と広大な自然とその景観を臨む地域、いわゆるバッハゾーンにおける環境整備も必要であり、イベント経費の確保や自然環境の保全とともに、観光資源と生活環境との両立が求められています。
 さらに、SNS等情報社会の高度化は、従前より自治体間の比較が容易となり、地域特性だけでなく行政サービスの比較も容易となり、そこには地域間の競争を勝ち抜くためのブランド力を備え、選ばれる自治体を目指すことが必要となると考えております。
 こうしたことから、「地方創生2.0」のもと、変革する地方税や地方交付税などの財政調整機能に期待するとともに、町としても各種使用料の見直し、ふるさと納税制度の活用や宿泊税の導入など様々な自主財源の確保に努める必要があると考えているところでございます。
 こうした思いの中、地方創生、持続可能な地域社会の実現に取り組んでいくために、限られた財源を効率的、効果的に活用しながら、町民・事業者全ての皆さまの日常生活や社会経済活動と今後の町の発展に思いを寄せ、令和七年度の当初予算の編成に臨んだところであります。その内の主なる施策について、申し上げます。
 先ず町民への支援策ですが、燃料費や諸物価の高騰から町民の「生活をまもる」ための施策です。町民への支援策として、物価高騰に対し住民生活を下支えするとともに消費喚起、経済の活性化を促す商品券事業を継続実施しているところですが、さらなる生活支援事業を予定しているところです。
 次に、町役場窓口における手続きの簡素化、来庁者負担の軽減や職員の省人力に向けた取り組みです。
 マイナンバーカードの普及促進により、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるとともに、コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書の取得ができ、税務申告などの税関連の手続きや社会保障に関連する様々な手続きに活用できるほか、グローバルな身分証明手段として、広く住民生活における利便性の向上が期待できるところであります。当予算では、町役場窓口での住民票等各種証明書の発行にあたり、マイナンバーカードをかざすと申請書のいわゆる基本項目が自動で記載できるシステムを導入することとしています。来庁者の負担軽減と待ち時間の短縮に取り組むものであります。
 また、マイナンバーカードについては、今後においても様々な手続きや申請が簡素化され、あるいはオンライン化され、迅速に処理されることが期待されますが、五年ごとの更新を行うことが必要です。更新時期が重なる次年度に向け窓口の混雑緩和化を図るため、更新予約システムを導入し、更新手続きの簡素化や待ち時間の短縮を図ることを検討しています。
 次に、「防災強靭化のまちづくり」を推進する施策です。近年は気候変動に伴い、全国各地で台風や記録的な大雨による被害が発生し、住民生活に甚大な被害を及ぼす事態となっております。また、南海トラフ地震をはじめとする大規模災害時では、災害防災無線の中継基地などのインフラが被災し、通信途絶のリスクが懸念されるところであります。そこで令和七年度には、現在紅葉台にある基地局を経由しなければ通信できないエリアでも、町内全域で使用できるハイブリッドIPトランシーバーの導入を予定しています。
 
 それでは、今議会に提出いたしました議案等の主なるものの概要を申し上げます。提出案件は全部で五十件です。内訳は、条例の制定及び一部改正が十四件、特別会計の補正予算が三件、一般会計補正予算、また、令和七年度当初予算は特別会計予算が二十六件及び企業会計が五件、並びに一般会計予算です。
 まず、条例の制定及び一部改正ですが、「富士河口湖町町議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正」、「富士河口湖町長等の給与及び旅費に関する条例の一部改正」は、富士河口湖町特別職報酬等審議会の答申を受け、物価上昇等の推移や類似団体間比較などを鑑み額改定の提案をするものです。
 次に「富士河口湖町職員の勤務時間、休暇等に関する条例等の一部改正」及び「富士河口湖町職員給与条例等の一部改正」は、職員の人材確保と職員処遇向上と職員給与等や特別職の報酬の見直しを図る提案です。
 次に「富士河口湖町職員等の旅費に関する条例等の一部改正」は、出張旅費のうち宿泊費が物価高騰の影響から実勢価格との乖離が生じていることから改正する提案です。
 また、「富士河口湖町行政財産使用料条例の一部改正」は、使用料の算定方法及び文言を整理するため、「富士河口湖町ふれあいこども館条例等の一部改正」は、開館時間を延長できるようにするため、「富士河口湖町立公民館条例の一部改正」は、自治公民館の老朽化に伴う解体によるもの、さらに「富士河口湖町運動場条例の一部改正」については、くぬぎ平スポーツ公園の利用料等を改定する提案です。
 その他、上位法令等が変更となったため、これを引用する関係条例の一部を改正する必要がある五件の条例を提案するものです。
 次に、補正予算ですが、そのうち、令和六年一般会計補正予算(第八号)の概要について説明いたします。今回の補正は、既定の歳入歳出予算の総額に一億七千八百十七万四千円を追加し、歳入歳出予算の総額を百五十五億四千九百五十六万七千円とするものです。
 まず、歳入の主なものについてご説明いたします。地方交付税九千五百二万千円、国庫支出金六千百五十五万二千円、県支出金千九百三十七万八千円を増額計上いたしました。
 次に、歳出の主なものをご説明いたします。総務費は、財産管理費で基金積立金に一億五千四十六万二千円の増額、民生費は、児童措置費で令和六年十月からの制度改正に伴う児童手当の支給額の不足分として六千五百万円、保育所費で認定こども園等への給付費二千三百四十万円の増額を計上しました。林業振興費では、有害鳥獣駆除報償として四百五万円の増額、教育費ではステラシアター管理費として、ロビートイレ改修工事費として一千万円の増額を計上しました。その他、令和六年度の事業のうち不用見込額の減額と、過年度の国庫補助事業費の確定に伴う返還金を計上いたしました。
 次に、当初予算ですが、そのうち令和七年度一般会計歳入歳出予算についてご説明いたします。歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ百四十七億五千三百万円であり、対前年度比七億六千八百万円の増となっています。 
 まず、歳入の主なものをご説明いたします。町税は、四十八億三千六百一万円、地方交付税三十一億円、国庫支出金十一億三千三百五十七万円、町債四億百五十万円等を計上しました。
 次に、歳出の主なものをご説明いたします。
 総務費の総務管理費では、町役場外壁修繕工事三千七百七十万円、Mt富士トライアスロン富士河口湖関係事業費七百万円、辺地計画策定業務百七万円、移住・定住促進事業二千四十九万円、高等学校学習用端末購入支援事業六百万円、奨学金返還支援補助事業一千万円、さらに宿泊税導入推進事業費千六百五十万円などを計上しました。戸籍住民登録費は、戸籍の氏名振り仮名記載業務、マイナンバーカード窓口の予約管理システムや「書かない窓口」事業など二千七百七十六万円、基幹統計調査費は国勢調査費千三百二十三万円を計上しました。
 民生費の社会福祉費は、高齢者補聴器購入費補助事業百万円、タクシー券やバス定期券の拡充を図り、高齢者外出支援七百万円などを計上しました。児童福祉費は、小立保育所の実施設計業務など保育所建設関係事業五千七百九十万円、こども家庭センター事業千八百六十四万円、制度拡充された児童手当支給事業は五億八千七百四十万円、おうち子育て応援事業四千二百万円などを計上しました。
 衛生費の保健衛生費は、母子保健事業費として妊婦健診や乳幼児健診等二千四百十一万円、産後事業は従来のショートステイ型に助産師による訪問支援型とデイサービス型を拡充し、産後健診事業と合わせ七百四十三万円、乳幼児おむつ用品支給事業費千百五十五万円、母子手帳アプリ事業四十万円、出産・子育て応援交付金事業千六百五十万円、高校三年生までの子ども医療費助成事業一億二千万円を計上しました。予防費では、定期接種となる帯状疱疹ワクチン、高齢者に対するインフルエンザ、コロナワクチン等予防接種事業一億千九百九十五万円、更にがん患者アピアランスケア助成事業百万円ほか住民健診事業三千六百七十万円などを計上しました。また環境衛生費では、猫の不妊・去勢手術費助成百十三万円、景観保全費では、住宅用太陽光発電システム設置補助事業八百万円を計上しました。
 農林水産業費では、酪農ヘルパー利用者や飼料高騰に対する支援として畜産経営支援補助金三百四十万円、家畜防疫対策補助事業三百三十万円、有害鳥獣駆除事業及び防護柵設置費補助事業千六十万円、松くい虫被害木、ナラ枯れ被害木駆除事業三百九十六万円、森林整備に向けた調査事業千二十八万円、レイクトラウト駆除推進事業二百万円などを計上しました。
 商工費の商工振興費では、外国人留学生と町内事業所との就職マッチング事業ジョブナビ富士河口湖二百二十万円、観光費では、総合観光パンフレット・ポスターの印刷やイベント情報集約サイト運用などの観光宣伝事業、国際観光推進事業費など九千八百三十六万円を計上しました。観光振興支援事業では、蔵出しワインバー河口湖については六百万円、新たな名物イベントとして定着を図るため、五月初旬の日程で開催致します。観光情報デジタルポートサイト構築事業は千八百万円、デジタル観光統計事業として、外国人観光客の動向や消費額など、携帯電話の位置情報を活用した調査で町の観光施策や観光事業者のマーケティング活動の一助となる観光統計事業など三千百万円を計上しました。また、主な施設整備として、もみじ回廊修景等整備事業四百三十万円、東海自然歩道・登山道等維持整備四百二十三万円、まちなか拠点へのWIFI整備事業三百六万円などを計上したほか、くらし応援商品券事業一億五千二百万円を計上しました。
 土木費の道路橋梁費では、道路維持費に二億九千四百万円、道路新設改良費七千九百万円を計上しました。河川費では、雪解沢整備事業など二千六百万円、都市計画費では、公園費で総合公園トイレ建て替え工事等三千二百万円、さくらの里公園展望デッキ補修工事四百五十万円等五千九百万円を計上しました。また、住宅費では、木造住宅耐震診断及び改修補助金を計上するとともに耐震シェルター設置補助金などで九百十四万円を計上しました。
 消防費は、消防分団活動費等を増額し報酬等二千百六十七万円、大石分団消防車購入費二千六百九十二万円、避難所案内看板、ハイブリッドIPトランシーバーや災害備蓄品及び避難所用トイレ整備など災害対策費に二千二百六十八万円などを計上しました。
 教育費の小学校費では、小立小学校敷地測量業務二千二百万円、今後三か年で行うGIGA端末入れ替え事業四千二百七十万円、学習塾等受講料助成金事業六十万円などを計上しました。
 社会教育費では、公民館活動推進事業三百三十九万円、青少年教育費八百十三万円、図書館事業八千八百九十三万円、文化財保護費は町史編纂事業や指定文化財保存修理補助事業など九百七十四万円を計上しました。また、文化振興費では、音楽のまちづくり事業、ステラシアター・円形ホール管理費では、世界的指揮者で特別町民の佐渡裕さんを富士山河口湖音楽祭に再びお迎えするなど多くの公演で音楽芸術に触れる機会の創出事業として実行委員会への助成を計上しました。保健体育費では、各種スポーツ団体及びスポーツ大会開催費の補助など二千六十万円や施設管理事業費を計上しました。
 また、学校給食費は、学校給食費の無償化事業に加え給食を実施していない学校へ通う児童への補助事業など一億三千四百五十八万円を計上しました。
 
 以上、本定例会に上程しました令和七年度一般会計歳入歳出予算の説明とさせていただきます。
 詳細な内容や特別会計につきましては、各常任委員会において担当課長から説明をさせていただきますので、ご審議賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 
 

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