令和2年12月議会 施政方針

 本日ここに、令和二年第四回富士河口湖町議会定例会の開会にあたり、提出いたしました案件の主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 まず、国内外の情勢でありますが、アメリカにおいては、バイデン氏が次期大統領に就任することが確実となり、国内においては、菅義偉氏が内閣総理大臣に就任して二ヶ月が過ぎようとしています。携帯電話料金の引き下げ、デジタル庁の創設、規制改革、不妊治療の保険適用など矢継ぎ早に打ち出し、総選挙も先送りしての菅カラーを打ち出しております。
 そうした国内外の情勢下でありますが、はじめに、町民の皆様、そして事業者の皆様には、「新型コロナウイルス感染症」の感染防止のため、一丸となり、マスクの着用、手洗い、「三密」の回避の徹底などの「新しい生活様式」の取り組みを推進していただいていることに感謝を申し上げます。また、感染拡大防止の最前線で、御尽力されている全ての医療関係者の方々にこの場をお借りして改めて敬意を表するとともに感謝を申し上げます。
 さて、世界規模で影響を与え続けている新型コロナウイルス感染症は、アメリカや欧州を中心に感染が再拡大し、わが国においても、一時は、六月下旬以降、全国的な感染拡大は減少に転じたものの、東京都を中心とした首都圏や大阪府、北海道をはじめ全国各地で再び急速に拡大し、第三波の様相を呈している中、新たな感染者数や重症者数も最多を更新するような状況が続き、今後冬の季節性インフルエンザ流行期と重なることで、より重大な事態になることを危惧しているところであります。
 これまで、十一月に観光庁が発表した宿泊旅行統計調査の速報値では、国内のホテルや旅館への日本人宿泊者数は、改善し持ち直しの状況が見られました。当町においても同様の傾向がみられ、町独自で実施した町内の宿泊施設利用者に補助を行う「観光支援事業」は、宿泊延人数で約二万三千人が利用し、また七月二十二日に開始された政府の観光支援事業「GO TO トラベル」と相まって旅行需要を押し上げてきたものと考えております。
 この間、町においても、コロナ禍の影響で難しくなった資金繰り対策のため、借入の保証料や返済利子を全額補助するとともに「子育て応援臨時給付金」や「在宅介護支援給付金」、また「障害児者通所等利用者世帯支援金」の給付などの支援を行うとともに、九月上旬から「くらし応援商品券事業」として、町民全てに一万円の商品券の配布を実施したところであります。この「くらし応援商品券事業」は、コロナ禍の影響により、困難を抱えている家庭を支援するとともに、消費需要を決められた期間内において確実に喚起することで、地域経済に活力を与え、景気を支えるため、町の募集に応じて登録した町内のあらゆる事業所において利用可能な商品券としたものです。この商品券の使用期限は、今月三十一日までとなっておりますので、有効に活用していただきたいと考えております。
 また、八月には納涼祭などの観光イベントを実施したほか、十月からは、政府の地域共通クーポンの利用や「GO TO イート」のポイント付与事業、同じく県のプレミアム付き食事券販売も始まり、それぞれの景気浮揚策が景気の持ち直しに貢献してきたものと考えております。こうした取り組みにより、地域経済の回復に期待をかけてきたところであり、政府の月例経済報告でも、七月から十一月までの間、継続して、景気は持ち直しの動きが見られると評価してきたところでありました。
 しかしながら、こうした経済状況の回復のベースには、常に、「感染拡大の防止」との両立が課題としてあったわけでありますが、十一月に入り再び東京都など首都圏や大阪府、愛知県、北海道をはじめ全国各地で感染が急速に拡大し、危機的な状況となったことで、これらの都道府県は一部地域において飲食店に営業時間の短縮を要請することなどを決め、またこれらの地域を含む多くの県は「Go To イート」の一時停止や利用の自粛要請も決めところであり、山梨県においても同様に十一月に入り感染者が増加している状況となっているところであります。
 政府は、十二月十五日までを今後の感染拡大の抑制のための大事な三週間と位置付けており、予断を許さない状況となっております。
 引き続き、危機感を持って、「安全・安心」のもと社会経済活動を継続し、経済活動の回復が図れるよう「感染防止の徹底」について、あらためて皆様方にお願いをするところであります。
 政府は現在、追加経済対策を盛り込んだ令和二年度第三次補正予算案の編成に着手しているところであります。その中で、コロナ禍の影響により、厳しい雇用情勢が続く中、十二月末までとなっている雇用調整助成金の上限額の引き上げなどの特例措置の継続や観光支援事業「Go To トラベル」の来年六月までの延長に必要な経費を計上する方針を示していることは、雇用の下支えのために、また観光に支えられる町としてひとまず安堵しているところであります。
 しかしながら、この「Go To トラベル」も感染拡大により十一月二十四日から札幌市と大阪市が対象からの一時除外が決まり、また、東京都は、重症化リスクの高い六十五歳以上の高齢者と基礎疾患がある人への利用自粛要請を決定するなど、感染状況が予断を許さない地域は他にもあることから、除外対象が広がる恐れがあり、回復途上にあった国内観光需要が腰折れになってしまうのではないかと懸念しているところであります。
 社会経済活動を推進すれば感染者が増加しかねないこうした状況の中、新型コロナ感染症の今後の打開策のカギとなる「ワクチン」が先週二日にイギリスで承認されたとの報道がありました。我が国が供給を受ける予定のワクチンが承認されたのは初めてのことであり、今後こうしたワクチンが国内においても安全性を考慮されながら一日でも早く実用化されることを願っているところであります。
 一方で、町では、ウイズコロナ・アフターコロナを見据えた中で、新型コロナの影響で訪日客が見込めない中、温泉地として国内客の誘客につなげるため、観光関連団体や商工会とともに、温泉地としての知名度を高める狙いで、河口湖駅に温泉地としてイメージできるよう、副駅名として「富士河口湖温泉郷駅」と名前を付けるよう要望し、今月一日から導入されております。
 そして、この河口湖駅(富士河口湖温泉郷駅)から湖畔を経由し、河口湖自然生活館や八木崎公園といった観光拠点までのルートに沿って、国際的な観光地にふさわしい情報通信網の整備「まちなかWI‐FI設置事業」を進めております。現在、設置場所の最終的な確認作業をしており、年度末までには、こうした観光主要ルートや観光拠点、防災拠点などに、フリーWI‐FIが整備され、観光客や住民の皆様が快適にまた有用に使用できることとなります。
 さらに、スポーツの振興とスポーツ合宿などを盛り返し、より豊かな経済発展のための重要資産として大規模なリニューアル化を進めております「くぬぎ平スポーツ公園運動場人工芝生化事業」は、順調に進捗しており、人工芝の敷設工事は終了し、来春には、緑鮮やかな人工芝と新たに整備したスタンド、トイレ・倉庫、駐車場などを備えた広大な多目的運動場として、生まれ変わり、供用開始される予定となっているところであります。この多目的運動場の整備により、富士北麓の冷涼な気候を活かして、夏の合宿や大規模な大会の誘致を行えることができるようになり、地域経済の発展に寄与するものと期待しているところであり、来春の完成後には、施設のオープニングイベントを開催することも計画しているところであります。
 また、老朽化が著しいため、県に整備を要望してまいりました県営船津浜・平浜駐車場の施設整備については、畳岩から小曲岬裏までの全ての区域を対象に、必要な舗装の打ち代えや補修、白線の引き直しや駐車場入口のバリカーの設置などの整備を行うこととなっております。この事業は、年明けからの着手が予定されており、新年度には新たに観光客を迎えられることとなっております。
 また、町の道路網の整備についてでございますが、足和田バイパス(仮称)の整備が県事業として着手されることとなりました。この道路は、合併当初から県に要望してきた路線であり、生活道路や地域間の連携の強化だけでなく、町の観光振興や災害時の避難路、また救援物資の輸送路としての役割も期待しているところであります。計画ルートは、既に合併支援道路として、役場北側から県道鳴沢富士河口湖線までの区間が供用開始されておりますが、さらにその先を延伸し、河口湖南岸道路の県道青木ヶ原船津線に接続するもので、計画延長は一.一㎞、そのうちトンネル延長が八百四十五mとなっております。先月十八日には、地権者約八十名を対象とした事業説明会が開催され、計画ルート、道路構成、今後のスケジュールが示されたところであります。
 さらに、今年三月に公表された国道一三七号「新たな御坂トンネル」の整備が計画されております。本県の二大生活圏を結ぶ国道一三七号は「甲府富士北麓連絡道路」として、国道一三八号の須走道路を経由し、新東名高速道路に繋がる重要な路線と位置付けられております。示されたルート案では、整備済み区間である河口地区の山宮トンネルから笛吹市側のカムイ御坂スキー場入口付近をほぼ直線で結ぶ計画となっており、計画延長約五. 五㎞のうち、トンネル延長は約四.六㎞となっております。
 こうした新たなトンネルなどの整備により、幹線道路のネットワークのみならず令和九年予定のリニア中央新幹線の開通と合わせた観光ルートの強化など地域経済発展への好影響と富士山噴火などの自然災害時の道路交通の確保など様々な効果を期待しているところであります。
 また、ゴミ処理の広域化についてでありますが、山梨県内を三ブロックに分けてゴミ処理施設を集約する県の計画を巡り、建設予定地が懸案となっておりましたが、都留市中津森地区と西桂小沼米倉地区の二か所の候補地について、山梨県と関係十二市町村での協議を経て、令和二年十月二十九日、富士北麓・東部地区として、西桂町小沼米倉地区に施設を整備すること、また令和十四年四月に稼働を予定することなど、将来の共同処理に関わる基本的な合意に至り、十一月九日に関係十二市町村による基本合意書を締結したところであります。この建設予定地は、中央自動車道富士吉田西桂スマートインターチェンジ近くの約四ヘクタールで、総事業費は、約二百四十億円が見込まれているところであります。
次に、令和三年度予算編成方針についてご説明いたします。
 コロナ禍の影響により、経済は未だ極めて深刻な状況にあり、市町村財政を取り巻く環境は相当厳しいものになることが予想されるところであります。町税においては、令和元年度決算において合併以来過去最高の約四十六億七千万円となりましたが、令和二年度は、収束の見えないコロナ禍にあって、経済状況は一転し、来年度の町税収入は、経験したことのない水準で大きく落ち込むのではないかと懸念しているところであります。町民税は著しい減額が予想され、また、いまだ先がはっきりと見通せない経済状況から法人町民税や入湯税、町たばこ税にも大きな打撃があると考えております。また、固定資産税は、事業用資産については、コロナ禍の影響を多大に受けた中小事業者等には、その影響の度合いにより二分の一又はゼロに減免することを表明しており、その財源は町に補填をすると表明してはいるものの、どの程度の補填があるのかは今後見極めていく必要があるものと考えております。加えて、地方交付税額は、その増額を期待することは厳しいものとなっており、多額の歳入不足となることを懸念しているところであります。
 歳出全般については、高齢化社会などに伴う社会保障関連経費の増加や公共施設等の老朽化対策に要する経費、地方創生、防災・減災対策の強化・充実等の喫緊の課題に対応するために必要な財源がさらに見込まれるところであります。
 限られた財源で最大限の事業効果を発揮するために、歳入・歳出のすべてを再検証し、事業の適否はもちろんのこと、事業内容や予算額の適正化等についても見直しを行い、歳出の削減を図るとともに創意・工夫の意識をもって施策ごとの「重点化・効率化」を重視することとするほか、経常的経費や普通建設事業費についてもマイナスシーリングをかけたところであります。
 一方、歳入においては、新たな財源の確保に取り組むものとし、その中でふるさと応援寄附金事業においては、今年度寄附額の大きな伸びが見込まれる中で、さらなる増額に力を入れることとし、組織の見直しなどを含めて対応していきたいと考えているところであります。
 国が現在、編成に着手している第三次補正予算を含む今後の国・県の施策の動向にも細心の注意を払いながら、「新たな社会」に向けた変革など、コロナ禍への対応と、事業の必要性や有効性を精査しながら、限られた財源の中、質の高い予算の編成に臨む所存であります。
 依然として先行きが不透明な状況が続いておりますが、一日も早いコロナ禍の収束と、町民の皆様の日常生活、そして経済の回復と発展のため、議員各位をはじめ、町民の皆様に御協力をいただきながら、この難局にあっても町の豊かさを築くために引き続き、努力をしてまいる所存であります。

 それでは、今議会に提出いたしました議案等の概要を申し上げます。提出案件は全部で十六件であります。内訳は、条例の新規制定が一件、一部改正が六件、町道の路線認定一件、補正予算は、特別会計が七件及び一般会計補正予算であります。
 まず、条例の新規制定でありますが、「富士河口湖町中小企業者・小規模企業者振興基本条例の制定について」は、小規模企業の振興を図るため、町・事業者・商工会等の役割などを定めることで、総合的に施策を推進するため条例を制定するものです。
 条例の一部改正は六件でありますが、その内五件は、関連する上位法令等の改正に伴い、条項・文言の改正を行うものです。また、「富士河口湖町運動場条例の一部を改正する条例」は、くぬぎ平スポーツ公園運動場の改修に伴い、名称及び利用料金の改正をする必要があるため改正するものです。
 次に、補正予算につきましては、特別会計七会計と一般会計でありますが、そのうち、令和二年度一般会計補正予算(第七号)の概要について御説明いたします。
今回の補正は、既定の歳入歳出予算の総額に五億五千二十五万五千円を追加し、歳入歳出の総額を百七十億三千六百四十四万二千円とするものです。
 歳入の主なものを御説明いたします。
 町税九千万円、繰入金三億七千八百五万円を減額しました。また地方交付税一億九千七百三十七万六千円、国庫支出金三億八千八百四十二万円、寄附金三億三千二百十ニ万円、町債五千五百万円をそれぞれ増額いたしました。
 次に、歳出の主なものを御説明いたします。
総務費では、ふるさと応援寄附金が増額となる見込みにより、ふるさと応援寄附基金積立金として一億六千八百七十六万三千円と同寄附金の増額に伴う寄附者への返礼等として一億六千三百二十三万七千円の増額であります。
 民生費は、介護給付・訓練等給付費など八千百五十万円の増額と認定こども園・幼稚園・私立保育所等への委託料五千七百四十万円の増額であります。
衛生費は、ロタウイルス定期接種化に伴う委託料三百十二万一千円、コロナ禍による温泉事業者に対する温泉使用料減免に伴う補填として、温泉事業特別会計への繰出金九百十九万五千円の増額であります。
農林水産業費は、特定鳥獣駆除報償、松くい虫被害木駆除委託料などで三百六十七万八千円の増額であります。
 商工費は、山梨県の新型コロナウイルス感染防止に係る「グリーン・ゾーン」認証取得事業者に対する町単独の備品購入補助金の上乗せ分七百五十万円の増額であります。
 土木費は、町道拡幅事業等に六百万円を増額し、また温泉使用料の減免に伴い、対応する下水道使用料についても減免したことによる、下水道特別会計に対する財源の繰出金百万五千円の増額であります。
 教育費は、新型コロナ対策として、小学一年生から中学三年生までの全ての児童生徒に一人一台の情報端末を今年度において全て購入することとしましたが、そのタブレット端末の初期設定に伴う費用として、一千二百九十一万三千円を増額し、また、現在、人口芝生化を含む大規模なリニューアルを進めているくぬぎ平スポーツ公園運動場の来春の完成に合わせ、広報活動のための費用として、三十八万九千円の増額であります。 
 また、総務費から教育費までを通して、このコロナ禍を受け、中止・延期となった事業などの経費や改めて事業を見直しすることで歳出予算を削減したものなどの経費について、減額をしております。
 以上、本定例会に上程しました令和二年度一般会計補正予算(第七号)の説明とさせていただきます。 詳細な内容や特別会計につきましては、各常任委員会において担当課長から説明をさせていただきますので、ご審議のうえご議決を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 

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