令和6年9月議会 施政方針

 本日ここに、令和六年第三回富士河口湖町議会定例会の開会にあたり、提出いたしました案件の主なるものにつきまして、その概要をご説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 第三十三回夏季オリンピックパリ大会は、七月二十六日から八月十一日まで開催され、世界中から集まった選手のパフォーマンスは感動を与えるものでした。日本人選手の活躍も目覚ましく、十四歳の金メダリストなど、東京大会でも話題となった比較的若い選手が活躍する競技も増え、緊張しながらも楽しんでいる様子が印象的でありました。続いて、パリ・パラリンピックが八月二十八日に開幕しています。こちらでも世界中の選手の姿に感動や希望を抱く方が多いのではないでしょうか。
 本町では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた事前合宿の際にフランストライアスロンチームが合宿に訪れたことを契機に、河口湖・西湖の特設コースにおいてトライアスロン大会を創設し、本年も九月八日に第三回となる「Mt(マウント).富士トライアスロン富士河口湖二〇二四」を開催いたします。
 八木崎公園をメイン会場とし、富士山の景観を楽しむとともに、雄大な自然に挑戦する当町ならではの競技となっています。このことから会場周辺の交通規制を伴いますので、町民の皆様にはご理解とご協力をお願い申し上げます。
 パリ大会は、開会式を無料で市民や観光客が観覧できる画期的な試みでした。スローガンを「広く開かれた大会」とし、ジェンダー平等を意識した大会であり、地球の気候変動と向き合うプロジェクトを支援するなどグローバルな課題を意識させる大会でもありました。このパリ大会で女子トライアスロン競技の金メダリストとなったカッサンドル・ヴーグラン選手は、当町に訪れたメンバーの一人であります。オリンピックのレガシーとして、当町の観光や自然資源と親和性の高いスポーツでありますので、大会を通じ、自然環境の保全や観光とスポーツの相互の普及、発展を図ってまいりたいと考えております。
 さて、オリンピックの日本の金メダル獲得が海外大会で過去最多数を記録し、選手の活躍に沸く中、七月末の日銀の追加利上げ決定を契機に、金融市場の株高・円安基調が一転し、円を買い戻す動きや記録的な株価の乱高下といった変動が続いたところです。拡充された優遇税制NISA(ニーサ)をきっかけに、新たに投資を始めた方には、不安を感じた人もいるのではないでしょうか。市場では円の利上げと海外経済の先行きへの警戒感が急速に高まり、消費意欲を悪化させる可能性があったところですが、日銀の金融市場が不安定な状況での利上げは慎重に検討していくとの姿勢が示され極端な緊張感は薄れたと感じています。
 一方、厚生労働省は、六月の毎月勤労統計調査によると物価変動を反映させた実質賃金は前年同月比一.一%増と、二十七カ月ぶりにプラスに転じたと発表しました。二〇二四年春闘で妥結した高い賃上げ率やボーナスの増額が主因とみています。先行きは不透明ながらも、実質賃金のプラス転換により、個人消費の回復を通じた経済の成長を期待するところです。このことから、二%の物価上昇目標が見通しどおり推移すれば、さらなる利上げを進める方針が表明されているため、円相場は今後も上昇基調をたどるとの見方があります。市場の動きからは、世界情勢やグローバル経済の動きを機敏に意識するようになり、金利のある世界への変化が感じられるところであります。
 次に、「姉妹都市」スイスのツェルマット村への訪問について報告いたします。平成二十七年十一月に「友好都市」の締結をして以来、お互いに訪問団を派遣するなど交流を重ねてまいりました。昨年五月には、当町にロミー村長をはじめ、村の要人や学生、引率教諭の総勢五十三名からなる訪問団が本町を訪れ、関係をより発展させるため「姉妹都市」の締結にいたったところです。本年は、八月二十日から、私を含め、町議会議員五名、町内の中学生十五名と引率四名の総勢二十五名からなる町の姉妹都市交流訪問団を結成し表敬訪問してまいりました。
 まずは、アルプスの展望台ユングフラウヨッホを訪れた後、ツェルマット駅においてロミー村長らにお出迎えをいただきました。八月二十二日には、中学生により富士河口湖町の紹介や書道、太鼓演奏の特技を披露し、議員団による産業施設やツェルマット村内施設の視察を行ってまいりました。その夜から中学生は、各々ホームステイ先に宿泊し、翌二十三日には、次世代を担う地元学生と交流が行われ、雄大な自然の中をハイキングし、歴史的施設の視察見学など和気あいあいとした中で行われたところです。議員団は、観光行政者や現地議員との観光開発と環境整備についての意見交換を行い、また、姉妹都市締結のモニュメントの除幕式を行ってまいりました。ツェルマット最後の夜となったさよならパーティーでは、別れが惜しまれるなか、次回は本町を訪れていただくことを約束したところです。これまで以上に交流を発展させるとともに、これからの町を担うこどもの世界的視野を広げ、多文化共生社会における人材の育成や当町の町づくりに繋げていきたいと考えております。
 さて、災害への備えと災害時を想定した新たな災害支援協定の締結について報告します。四月十九日に豊後水道海域で初めて震度六弱を観測する地震があり、八月八日には宮崎県南部を震源とする地震でも震度六弱を観測し、当地域での地震が相次ぐ中で、南海トラフが連動する地震が危惧されたところであります。巨大地震の発生可能性が高まった場合に出る「臨時情報」が初めて発表され、一週間程度、同規模の地震を警戒しつつ、備えを再確認するよう呼びかけを行ったところであります。
 防災の日の総合防災訓練は、台風の影響により中止となりましたが、南海トラフ東側を震源とするマグニチュード八クラスの地震を想定した訓練を予定していたところです。災害に対しては、避難訓練、消火訓練など継続した訓練と正しく恐れ備えることが大切であります。
 また、コロナ禍を経て、改めて地域の密接なつながりが重要であることを再認識したところであります。近年の災害においても、犠牲となる方のうち高齢者や障害を持つ方の割合は多くなっています。そこで町では、障がい者の自立支援協議会や民生委員協議会と協力し、避難行動要支援者のうち、支援の優先度の高い世帯を中心に、個別に避難計画を策定することとしました。支援者の特定や支援者の役割分担、個別の避難経路を想定するなど実効性のある計画を策定し随時更新を図ることとしています。
 また、長期化する避難所での生活に備えて、六月十五日に、キッチンカー事業者らでつくる団体「日本キッチンカー経営審議会」と災害時に同団体が炊き出しを提供する協定を県内で初めて締結しました。これにより災害後の電気・水道などインフラが使えない時でも、キッチンカーによって、被災された方々に温かい食事が提供されることが期待できるものであります。協定は災害時に町からの要請を受け、キッチンカーにより避難所において無償で炊き出しを行うもので、元日の能登半島地震でも実施され、好評を得たものであります。団体には全国の事業者が加盟し、二千から三千台のキッチンカーが所属し、全国から速やかに支援を受けることができるものと期待するものです。町としては、災害に備え、一層各関係機関と協力体制を保ちながら、地域防災力を高めてまいりますとともに災害に強いまちづくりを進めていく所存であります。
 さて、七月三日から二〇〇四年以来二十年ぶりに新紙幣の発行が始まっています。偽造抵抗力強化の観点から、最新の技術を駆使して、より偽造されにくく、デザインも触感に優れる形状になり、数字の拡大といった誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインへと変貌したところです。この影響は、新紙幣へ対応するため、自動販売機などの直接的な設備投資による需要も見込まれる中ではありますが、間接的な経済効果として、タンス預金化した現金の流通の狙いもあるといえるではないでしょうか。景気の上昇効果も期待されるところであります。
 人口減少社会の中で、労働力を補う自動販売機等については、ますます需要が高まると予想されますが、券売機や精算機などの設備投資には二十年前の状況とは異なる様相であり、二〇二三年のキャッシュレス決済比率が三九.三%という状況の中で、この機に一層のキャッシュレス化が促進されるのではと感じております。町においても必要な事業への適正な人員を確保していくと同時に、事業のデジタル化、普遍化あるいは省人化による取り組みを進めていく必要があると思っております。
 また、観光・宿泊業の人手不足解消に向けた取り組みですが、当町においても人手不足から稼働率を落とすなど問題になっているところです。一方、日本で学ぶ外国人留学生は近年増加傾向にあり、就職を希望する外国人留学生が増えている反面、外国人留学生の就職支援の枠組みはできておらず、外国人材の活用は進んでいない状況にあります。町では昨年、県内の日本語学校に通う外国人留学生を対象とした就職説明会を試験的に開催し、成果を得たところです。本年においては、山梨県内の他の大学からも、大学に通う外国人留学生を参加させてほしいとの声が上がったことから大学の留学生も対象とし、町内観光・宿泊事業者に向けた就職イベント「ジョブナビやまなし富士河口湖」を開催したいと考えているところです。日本の生活に慣れ、日本語を話せる外国人材の活用で人手不足解消に向けた取り組みとします。
 次に、令和六年四月からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制に伴い、物流が停滞し、これまでどおりの宅配サービスが受けられなくなる可能性などが懸念されているいわゆる「物流の二〇二四年問題」への対策について申し上げます。町では県と共同し、物流危機の要因の一つであります「再配達率」の低減へむけた住民の行動変容等を図るため、啓発活動を行うとともに玄関先などへ荷物を置く「宅配ボックス」の設置に対し、助成を行うことを考えているところです。運送業者の長時間労働の一因となっている再配達を減らすのが狙いで、「置き配」を推進することとし、同時に日常生活の利便性の向上を図る取り組みを進めてまいります。
 さて、外出の機会が下がる梅雨時に、集客率を上げるイベントとし定着しています恒例のハーブフェスティバルについては、六月二十二日から二十四日間の日程で大石公園を中心に行われました。今年はオープニングに合わせて山梨県産のワインと地元の飲食店により地元食材などを味わう地産地消事業となるイベント「蔵出しワインバー」を当地域で初めて大池公園内特設会場で開催しました。初日から雨上がりと同時に山梨のワインを求め来場される方が増え始め、三日間それぞれ思い思いのワインと当地域の特産品を堪能していただいたところです。地元高校ジャズバンド部などの演奏も湖畔の良い雰囲気を盛り上げていただく中、海外の方にも県産ワインの PRができ、高評を得たところです。
 また、六月二十九日には、ファイヤーパーフォーマンス・デジタルアートとミュージックライブが融合したイベント「燭」を八木崎公園で開催し、続いて次週には富士山・河口湖山開き花火まつりを開催し、音楽に合わせて夜空を彩る打ち上げ花火により、本格的な夏の観光シーズンを前に町内外から若者や多くのご家族に訪れていただいたところです。
 梅雨時のイベントであり開催リスクは伴いますが、来訪者の分散化を図り、年を通じて観光客を呼び込む通年型観光地への取り組みを進めてまいります。
 また、通年型観光地には欠かせない温泉の掘削状況です。昨年十月から掘削を始めた小立地区の第四号源泉の掘削状況について報告します。この新たな源泉については、七月末に掘削工事を概ね完了し、泉温(採取した時の温度)は三八度とこれまでの源泉より高温となる見込みであり、現在、成分検査等を実施しています。今後の予定ですが、年度内に施設設備の実施設計を行い、完成は令和七年度末を目途としております。 
 さて、今議会では、令和五年度の三十一の特別会計及び水道事業会計並びに一般会計の決算の認定をお願いするところですが、一般会計決算について概要をご説明申し上げます。
 歳入では、コロナ禍以後の主にインバウンドによる旅行消費は、地域の活性化と景気上昇をもたらし、個人住民税や法人町民税の合計が、対前年度比八.七%、一億五千三百万円あまりの増と顕著な伸びを示しています。地方税全体では、五.四%、二億四千八百万円の増となりました。また、地方(普通)交付税は、基準財政需要額の内、「臨時経済対策費」が継続となったことや、「臨時財政対策債発行可能額」が減額となったことなどにより、約一億二千万円の増額となりました。一方、国庫支出金は、新型コロナウイルスワクチン接種対策費の縮小により約三億六千万円の減額となっています。
 歳出においては、商工費では、町独自のコロナ禍における町民・事業者への物価高騰対策として、全町民に商品券を配布した「くらし応援商品券事業」として二億六千四万円や富士山世界文化遺産十周年記念、町政二十周年記念イベント事業などを実施し、昨年度より二億一千八百万円あまりの増加となりました。
 民生費では、未就園児に相談支援と経済支援を行う、おうち子育て応援金が約四千万円、また介護給付費・訓練等給付費が増額、職員人件費の増額などで昨年度より約一億二千五百万円の増加となりました。
 教育費では、勝山小学校増築事業が終了となっていますが、船津小学校体育館長寿命化事業が二億五千百万円あまり、生涯学習館長寿命化事業約一億二千五百万円のほか各教育施設の長寿命化事業により昨年度より二億二千七百万円あまり増額しています。
 一方、衛生費では、温泉掘削事業やコロナ以降の医療機関受診者の増加や観光客の増加を受け、子ども医療費助成金や焼却場負担金が増額となりましたが、新型コロナウイルスワクチン接種事業が大幅な減額となったため昨年度同程度で推移しています。
 また、農林水産業費では、農道改良事業が終了したことなどで約五千八百万円、公債費は新発債を抑えたことにより約二千八百万円が昨年度より減額となっています。
 今後も感染症の拡大に留意しながらも、地域経済の活性化と持続可能な社会・まちづくりを実現していくため、効率的な財政運営を進めるとともに、必要なものに重点的に予算を集中し、活力あるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 それでは、今議会に提出いたしました議案について御説明いたします。提出案件は全部で四十七件です。内訳は、報告が二件、条例の一部改正が二件、「町道の路線廃止」と「財産の取得について」が各一件と決算認定が三十三件、補正予算が八件です。報告につきましては、「令和五年度決算に基づく財政健全化判断比率等の報告について」及び「令和六年度教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」です。
 次に、条例の一部改正は、「富士河口湖町国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定について」と「富士河口湖町重度心身障害者医療費助成条例等の一部を改正する条例の制定について」は、いわゆるマイナンバーにかかる番号法等の一部改正などに伴い改正する条例の提案です。
 次に、令和五年度決算認定につきましては、三十一の特別会計及び一般会計並びに水道事業会計です。
 次に、補正予算については、特別会計六会計と一般会計並びに下水道事業会計でありますが、そのうち、令和六年度一般会計補正予算(第三号)の概要についてご説明いたします。
 今回の補正は、既定の歳入歳出予算の総額に三億八千三百九十三万四千円を追加し、歳入歳出の総額を百四十八億五百六十六万七千円とするものです。歳入の主なものを御説明いたします。歳入は、国庫支出金二百四十九万六千円、県支出金四百二十九万九千円、地方交付税三千七百四十万二千円、繰越金三億三千四百七十六万千円をそれぞれ増額するものです。
 次に、歳出の主なものを御説明いたします。総務費では、役場庁舎の改修事業費として約千九百八十五万円の増額です。また、「宅配ボックス」の設置補助金として五百万円、デジタル総合戦略策定アンケート調査費に三百十六万円あまりを計上しました。民生費では、病児・病後児に対応した保育所を利用するのにあたりその利用料を助成する事業と、公立保育所内でのおむつ処理費の増額として百万円の増額です。衛生費では、母子保健費に、ラインアプリを利用した母子健康手帳の交付予約や出産に向けた両親学級の予約システムの導入経費として百六十一万円の増額、塵芥処理費として不燃物処理費等の委託費として二億三千九百万円あまりの増額です。商工費では外国人学生に向けた就職イベントの開催費として百六十五万円、観光費として、もみじ回廊・街道のライトアップ照明のLED化事業、大石公園トイレ増設のための設計委託など二百七十五万円の増額です。教育費では、小立小学校の小人数学級対応のため、教室改修工事費として二千三百六十万円、勝山小中学校体育館給水管工事三百二十万円、勝山中学校改修工事千百十万円、給食配送車としてトラック購入に千百三十万円の増額です。
 以上、令和六年度一般会計補正予算(第三号)の説明とさせていただきます。詳細な内容や特別会計につきましては、本会議において担当課長から説明をさせていただきますので、なにとぞご審議のうえご議決を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 

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