本日ここに、令和六年第ニ回富士河口湖町議会定例会の開会にあたり、提出いたしました案件の主なるものにつきまして、その概要をご説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
さて、令和六年四月十九日に豊後水道海域で初めて震度六弱を観測する地震があり南海トラフにおける地震が危惧されたところであります。環境省の見解ではプレートにすぐに結びつくものではないとの発表がありましたが、能登半島や台湾での大型地震や今年度に入り震度五弱の地震が相次ぐ中で、少なからず動揺や不安が広がるところでありました。雄大な自然は、産業、教育、文化など私たちの生活に大きな恩恵を与えていますが、自然豊かな本町は、自然災害に近い場所にあるとも言えます。その自然と共存していくため、あらかじめ準備し、対策を講じておき、災害を「正しく恐れる」ことが求められております。
先の能登半島地震の際には、当該地域においても多くの宿泊施設を抱えていたため、それらの施設が被災者の支援を行い避難所として機能したところであります。本町においても、災害発生時には大勢の観光客の方々が被災者となりうるところでありますが、避難所での受け入れは限られたものになります。こうしたことから、五月十三日に河口湖温泉旅館協同組合と災害救助法の適用を受ける災害が発生し又は発生する恐れがある場合等、避難所として宿泊施設等の提供を受ける災害防災協定を締結したところです。
町としましてもより一層の地域防災力を高めるとともに、各関係機関と協力体制を保ちながら、災害に強いまちづくりを進めていく所存であります。
さて、日本銀行が十七年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策を解除して約三か月になります。賃金上昇を伴う物価安定目標が見通せる状況になったことを理由に金融引き締めに転化しつつも、大規模緩和の状態は続けていくとしています。これにより、大きな変動をもたらすことなく、穏やかな転換になったとの評価を得ていますが、その一方、日米の金利差は縮小せず円安トレンドは続いている状況でございます。
政府観光局によりますと、三月に日本を訪れた外国人観光客は推計の三百八万人あまりで、単月で初めて三百万人を突破し、コロナ禍前の令和元年七月の弐百九十九万人を上回り過去最多となったとの発表がありました。その後も堅調に推移し、四月には三百四万人あまりと前年比で増加傾向にあり、通年ベースでも客数も消費額も過去最高を達成できる見通しであるとしております。さらに、この訪日客による飲食や宿泊などを分析したところ都市部に集中していることが分かりました。日本総合研究所によりますと、旅先として日本が人気なのは円安の影響もあるが、それ以上に四季折々の景観や独自の食事、歴史や文化など多様な楽しみ方ができる国として認知されてきたためとしています。都市部以外では、その地域ならではの観光資源やコンテンツづくりにより観光客を呼び込むことが重要となります。
本町においては、活況を呈する河口湖駅前周辺ですが、SNSで人気の場所でコンビニエンスストアと富士山を写真に収めるため、大変な賑わいにある中、外国人観光客をはじめとする観光客のマナーの啓蒙を行う必要性を感じ、駅前周辺に警備員を置くなど対応してまいりました。しかしながら、混雑に加え、写真をとるために道路に出るなど交通ルールに違反したり、私有地へごみを放置したりと周辺環境に影響が出てきたため、ドライバーと観光客の安全のため、あるいは、平穏な住環境を確保するため、防護柵等を設けなければならないような状況にあります。
また、大石公園では湖越しの富士山や美しい自然景観を求めて多くの観光客が訪れています。町でも指折りの人気のスポットとなっており、既存の施設では収容しきれない程の賑わいを見せております。
このような局所的ではありますがオーバーツーリズムの問題は、観光客の分散が緩和につながるところでありますので、町においても、様々な観光資源や魅力をさらに発信し、対応していきたいと考えております。
その一つに今年度はイベント情報集約サービスサイトの構築を考えているところです。本町のホームページはもとより、観光協会や民間団体等の様々なホームページに掲載されている、本町を会場として開催されるイベント等の情報を集約して提供する専用サイトを作成し、パソコンやスマートフォンで閲覧できるように致します。これにより、本町への来訪者の増加を図ること、様々な観光資源への分散及び公共的団体や事業者の情報発信の機会を増やすことを目的としています。加えて、アンケート機能を持たせ、「閲覧者からの声」を拾い、観光客に対して「長期滞在」「町内回遊」「混雑の分散」「高付加価値化」といった観光スタイルへと導くため、必要な対策を継続していきたいと考えております。
このように、観光客の受け入れ環境の充実や住民生活と調和した持続可能な観光の振興を図る施策などの充実が求められているところではございます。
全国の観光地ではインバウンドを含め急速に宿泊客が回復すると同時に、観光地の地域間競争を見据えて、宿泊税導入の動きが広がりを見せております。この税は、主に地域の観光振興に向けた財源の確保が目的で、ホテルや旅館などの宿泊客に課税される法定外目的税であります。
町でも、総務課、政策企画課、税務課、観光課の職員からなる宿泊税に関する「宿泊税検討作業部会」を立ち上げました。これから調査研究を行い、宿泊税について検討してまいります。
導入にあたっては、観光協会、旅館組合や宿泊事業者あるいは経済団体等のご理解をいただき協同していくことが大切でありますし、必要な手続きや議論には時間がかかります。
ぜひ、皆様のご理解とご協力を賜りたくお願い申し上げます。
次に、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した低所得者支援事業及び定額減税と差額給付金事業について、その進捗状況を報告いたします。
昨年十二月に閣議決定された「デフレ完全脱却のための創造経済対策」により、エネルギー・食料品等の物価高騰の負担感が大きい低所得世帯への支援が示されました。
同年十二月定例会においてご議決いただきました、国の交付金を活用した低所得者支援の事業のうち、交付した三万円に追加支援として七万円を支援する事業については、この四月末までに概ね完了しています。加えて、住民税均等割りのみ課税世帯への十万円の給付と子ども加算の五万円については、六月末までの申請期間を設け、給付を開始しているところでございます。
また、同年十二月に閣議決定された「令和六年度税制改正の大綱」による所得税と住民税あわせ一人あたり四万円の定額減税についてでありますが、このうち住民税についてはすでに税改正に合わせたシステム改修を行っており、一万円が減額された内容で納付をお願いすることになります。
また、この減額までに至らない方への差額給付金については、ここで国から詳細な要綱がようやく示されたところです。十月末までの受付期間にあわせ遅滞なく申請できるよう、対象者の洗い出しや事業費等の積算を行っており、この定例会の会期中に、追加提案させていただくよう現在誠意努力しているところでございます。
次に町単独事業としての燃料費をはじめとする諸物価の高騰から町民の「生活をまもる」ための施策について申し上げます。
一月三十日の臨時議会においてご議決いただき実施しております「物価高騰対策商品券事業」ですが、事業費八億二千七百万円あまりをかけ、全ての町民を対象に一人当たり三万円分の商品券を配布しています。すでに配布が完了しご利用していただいておりますが、商品券は、町内の様々な事業所において利用可能であり、諸物価の高騰などに苦しんでいる町民の皆様方を支援するとともに、消費を喚起することで事業者を支援し、地域経済に一層の活力を与えてまいりたいと考えているところであります。
また、令和五年一月から始まった政府の電気・ガス料金への補助金は六月に終了することになっております。この理由としてはLNG液化天然ガスの調達コストがロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下したためとしておりますが、中東の情勢の緊迫化などで原油が高騰する可能性もあり、不安定な国際情勢によりLNGの価格が上昇するリスクは消えてはいないと言わざるを得ません。燃料や諸物価の高騰は、すべての町民の皆さまの生活に不安要素となるものでございます。
こうした物価高騰のリスクに対し住民生活を下支えするとともに消費喚起を促す事業を効果的に行うよう、町民への支援策として、さらに「自治体マイナポイント制度」を活用した生活支援事業の実施を予定しております。
この事業は、先の十二月議会の際に、「町民の生活の支援を行うため、ペイペイ等を活用した給付事業について経費を新年度当初予算に計上したい」と申し上げた事業にあたるものでございます。全町民を対象に、町内での買い物の際にスマホ決済を通じ還元率二十パーセントで上限五千ポイント(五千円相当)を還元するマイナポイント事業を行うもので、現在、町民一人あたり三万円分の商品券を配布して実施中の商品券事業の事業効果が安定して継続するよう秋以降の実施を予定しています。
さて、民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」は、四月二十四日、全国の七百四十四市町村で将来的に人口減少が進み、自治体運営が立ちゆかなくなる状況を示す「消滅可能性」がある自治体との報告書を発表しました。二千十四年に日本創生会議が発表した内容と同様であり、依然として都市部への集中と国全体での人口底上げは果たせていないことが明らかになっています。この間それぞれの市町村では移住対策に取り組んできたわけですが、対策の当事者が市町村にあるように強調されてきたことは否めないところです。
自治体間での社会増減対策では本質的に変わらず、この先人口減が著しい市町村では行政サービスの維持に影響を及ぼす可能性があり自治体間での事業連携が必要と指摘されているところであります。
人口対策としては、都市部への人口集中を緩和し地方へ若年女性を呼び込むため、地域の魅力を発信する施策や女性の就労意欲へ応えることが必要となってまいります。
町では、富士北麓の市町村及び企業に呼びかけ「仕事」や「暮らし」、「支援制度」など必要な情報を提供し、富士北麓地域を一つの生活圏とした移住後の暮らしがイメージできるような相談会を都内で初めて開催いたします。複数の市町村で連携することにより集客を増やし、ロールモデルとなる移住者のトークなどを交えながら展開してまいります。
また、担当課には、移住のワンストップ体制を図るため、専門職員として女性の「移住コーディネーター」を新たに設置し、相談窓口の強化を図ったところです。町がこれまで行ってきた出産や子育てへの支援に取り組むと同時に、移住を考える女性へのアプローチとして期待できるものと考えております。
さて、皆様に約束いたしました「女性副町長の登用」につきましては、ご理解のもと三月定例会においてご議決いただいところであります。今以上に女性の声を反映しつつ、町政を運営していく方針です。
公式な議論の場だけでなく、普段の様々な場面で女性の皆様の声が届きやすくなることで、幅広い視点から施策に取り組むことができるものと考えております。女性の働きがいや労働意欲に応える政策に声を活かしてまちづくりを進めてまいります。
次に、子育て施策について申し上げます。
令和四年の改正児童福祉法により、令和六年四月から市町村において、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもの包括的な相談支援等を行うため、こども家庭センターの設置に努めることとされております。創設の背景には、核家族化や地域のつながりの希薄化により、家庭が孤立しがちな傾向にあるため、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきているところであり ます。
本町においても、この四月に「こども家庭センター」を立ち上げ、既存の「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」が有してきた機能を引き続き生かしながらも、一体的な組織として、子育て家庭に対する相談支援を実施していくことにしております。
また、子ども家庭センターには、母子保健機能及び児童福祉機能双方の業務について十分な知識を有し、俯瞰して判断のできる統括支援員を配置するなど体制を充実しております。これにより、両機能の連携、協働を深め、子育てに困難を抱える家庭に対し、切れ目なく、漏れなく対応することを目指してまいりたいと考えております。
それでは、今議会に提出いたしました議案についてご説明いたします。提出案件は全部で十三件です。内訳は、「令和五年度 温泉事業特別会計予算繰越明許費 繰越計算書」、令和五年度一般会計予算繰越明許費 繰越計算書」の報告、条例の一部改正が三件、「山梨県後期高齢者医療広域連合規約の変更について」ほか、特別会計補正予算が六件及び一般会計補正予算です。
そのうち、令和六年度一般会計補正予算(第一号)についてご説明いたします。
今回の補正は、既定の歳入歳出予算の総額に九千百八十九万円を追加し、歳入歳出の総額を百四十億七千六百八十九万円とするものです。
歳入の主なものをご説明いたします。
国庫支出金 四百二十八万三千円、諸収入二千六百四十万円、繰越金六千二十一万三千円の増額等となっております。
次に、歳出の主なものをご説明いたします。
総務費では、定額減税及び児童手当制度改定に対応するため、職員給与システムを改修する業務として百十八万八千円、富士河口湖町名誉町民への名誉町民章及び顕彰式等にかかる経費として、九十九万六千円、住民票のコンビニ交付においてフリガナ表記を付すためのデータ保存等事業に三百四十六万五千円です。
民生費では、小立小学校の教室を利用して運営しています放課後児童クラブ室の改修事業として、四百四十万円です。
衛生費では、新型コロナウイルスワクチンが高齢者への定期接種となるため、費用の一部を助成する事業として、三千五百四十万円、事業系生ごみ処理機の購入補助金として、三百万円です。
商工費では、北原ミュージアムの設備改修事業として、六十二万九千円です。
消防費では、可搬式ポンプの整備事業として、二百八十一万二千円です。船津地区の二自治会への整備を行います。
教育費では、船津財産区のご理解をいただき新たにステラシアターや体育施設のイベント時に使用するため、駐車場を整備する事業として、四百四十万円、町民プールの設備改修事業として、三百三十九万円などとなっております。
以上、雑駁な説明で恐縮ですが、本定例会に上程しました令和六年度一般会計補正予算(第一号)の説明とさせていただきます。詳細な内容や特別会計につきましては、各常任委員会において担当課長から説明させていただきますので、ご審議のうえご議決を賜りますようお願い申し上げます。