平成27年6月議会 施政方針

本日ここに、平成二十七年第二回富士河口湖町議会定例会の開会に当たり、提出いたしました案件のうち、主なものにつきまして、その概要を申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 サッカー女子ワールドカップ2011年ドイツ大会の日本代表である「なでしこジャパン」の優勝を記念して河口湖畔に植えられた「ナデシコ」が見事に花を咲かせ見ごろとなっています。今回のカナダ大会でのご活躍を期待しております。また、六月十九日からの「2015河口湖ハーブフェスティバル」の開催をはじめとして、いよいよ当町が一年中で最も活気のある夏の観光シーズンを迎えようとしています。今年も観光資源が豊富な「世界遺産のふるさと富士河口湖町」に国内外から例年以上に多くの来訪者があることを心から願っています。
 さて、国内では、東日本大震災以降、小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード8・5の大地震や昨秋の御嶽山の噴火で多数の犠牲者が出るなど、各地で地殻変動や火山活動が活発化しております。桜島の断続的な噴火や箱根山の一部地域では四月から火山活動が続いているなかで口永良部島の新岳で大規模な噴火が発生しました。この大規模な噴火にもかかわらず人的な被害がなかったことは、新たな避難施設までの訓練を実施していた屋久島町と再噴火に警戒するよう再三求めていた気象庁の噴火に備えた取り組みの成果であり、当町も広域的な視野に立って、箱根町や口永良部島の事例を参考に災害への備えの拡充を急がなければならないと考えております。
 そのなかで重要なのは、地域防災力向上であり、町民の皆様に「防災に対する意識」を高めていただき、災害に強い地域をつくっていただくことが大変重要であると考えています。具体的には、自主防災会の設置や地域の防災リーダーとしての防災士の資格取得、防災マップの作成などの他、地域のなかで防災面・防犯面でお困りの方を町と協力して地域全体で支えていく「地域支え合いマップ」の作成も大事な施策であり、既に西湖地区で実践しており、多くの地区での取り組みを期待しております。
 また、町でも避難所の案内看板の設置、備蓄倉庫の増設、備蓄資機材の増強、防災訓練や防災講演会の開催など町民の安全確保のための様々な施策を積極的に展開している状況であります。
 さて、昨年度は自治体が人口減少社会に突入することへの警鐘とその対応の必要性を強く実感した年でありましたが、今年度は、本町の「明日を拓くチャレンジ」の年度であると捉えており、そのためにはどのような取り組みが必要なのか、また、町の置かれている現状や将来の状況などを正しく把握し、直面している課題を遅らせることなく、一つひとつ丁寧に議論を重ね解決していくよう最大限努めていく所存であります。
当町では「まち・ひと・しごと創生法」を受けて、富士河口湖町人口ビジョン・総合戦略策定に着手しております。まち・ひと・しごと創生法の目的は、現代の我が国が直面している「静かなる危機」と呼ばれる少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるととともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、地方創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することとしています。
 これにより、速やかに「人口ビジョン」と「総合戦略」の基本方針を明確にしたうえで、同計画を遅くとも平成二十七年度中には策定することが求められております。
策定にあたっては、広く関係者の意見が反映すること、さらに地域課題に対する適切な短期・中期の政策目標を設定し、実施した施策・事業の効果を検証し、改善を図るPDCAサイクルを確立することに加えて、自主性・主体性を発揮し、地域の実情に沿った地域性のあるものとすることが重要であると考えております。
 富士河口湖町においての人口動向を見ると、人口が増加している県内でも数少ない自治体でありますが、地域間で格差があり、将来にわたっては必ずしも安心はできないと思っております。
 こうした状況のなかで、富士河口湖の人口の将来ビジョンを描き、国・県の総合戦略を勘案しつつ、町の①しごとづくり ②ひとの流れ ③結婚・出産・子育て ④まちづくりに係る各分野を広くカバーする総合戦略を策定して、活力あるまちづくりに資することとしております。
 人口ビジョンについては、本年八月を目指し、総合戦略については、十二月を目標に完成させていく予定であります。策定にあたっては、先般、設置した「地方創生総合戦略策定検討委員会」や「庁内ワーキンググループ」の御提言を基に、アンケート調査、パブリックコメント等開かれた手法を用いて、広く町民の御意見をお聞きし、質の高い、実効性のある戦略を策定してまいりたいと考えております。
 また、国の総合戦略に盛り込まれた「政策五原則」である自立性・将来性・地域性・直接性・結果重視の趣旨を踏まえて、効果的に施策を推進してまいる所存でありますので、御理解と御協力をお願いいたします。
 次に、統一的な基準による公会計の整備についてです。地方公会計は、これまで財務書類の作成・公表に取り組んできましたが、人口減少が予測され、少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため公会計を積極的に活用し、限られた財源を「賢く使う」取り組みを行うことは極めて重要であると考えております。そこで、総務省から各地方公共団体において「固定資産台帳」の整備等を前提とした統一的な基準による地方公会計の整備に取り組むよう要請されたことを受け、新公会計制度に伴う「固定資産台帳整備事業」を平成二十七年度と平成二十八年度の二ケ年にわたり進めていくことといたしました。
 さらに、全国的に公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっておりますが、当町においても厳しい財政状況が続く中で今後、社会情勢の変革等により公共施設等の利用需要の変化が予想されることを踏まえ、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置をすることが必要となっています。また、公共施設等を総合的かつ計画的に管理することは、地域社会の実情にあった将来のまちづくりを進めるうえで不可欠であるとともに、国土強靭化にも資するものであります。そこで、固定資産台帳や公会計の整備と整合させたなかで、「公共施設等総合管理計画策定事業」を今年度から二カ年にわたり実施することとしましたので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、過疎地域自立促進計画策定についてです。過疎地域における著しい人口減少や少子・高齢化への対応、住民の安全・安心な暮らしの確保、長引く景気低迷の影響を受ける地域産業の活性化、財政基盤のさらなる強化など、地域の自立につながる積極的な対応が求められており、その取り巻く状況は厳しいものとなっています。本町においても同様な課題を抱えるなかで、総合的かつ計画的な施策・事業を推進していくため、平成二十二年に策定した現在の計画が終了することから、平成二十八年度から向こう五ケ年間延長する必要があるため、今年度中に策定を行いますが、その過程においては、地域ごとの課題を整理し、地区の皆様のご意見を反映した計画を策定していきたいと考えておりますので、御理解と御協力をお願い申し上げます。
 次に、辺地総合整備計画策定についてです。辺地対策については、交通条件や自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない辺地地域の格差是正を図ることを目的に「辺地総合整備計画」を定めることにより、辺地対策事業債等により財政上の支援が受けられるものです。当町においては、西湖・根場地区において計画が策定されていますが、さらに、今後五ケ年の整備計画を策定する必要があるため、年度内に地域の皆様の御協力を得ながら実情に即した計画を策定してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
 次に、地域おこし協力隊についてです。人口減少や高齢化など進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行っていただき、その定住・定着を図ることで、住民ニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度であり、昨年度には、全国で四百四十四の自治体で、一千五百十一人の隊員が活躍している状況です。また、総務省が自治体に対して財政支援を行うものであり、活動の事例としては、農林水産業への従事・環境保全活動・住民の生活支援・地域おこしの支援などであります。当町においても、現在二名の隊員が精進・本栖湖地区に在住し活動を始めています。地域への貢献と客観的な視点のもとに積極的な活躍を願っております。
 さて、平成二十五年六月二十二日に「富士山世界文化遺産登録」が決定してから、早くも二周年となります。登録後、私たちは富士山の壮観さを再認識するなかで、郷土の歴史・文化や魅力、そして地域の豊かな自然環境を後世にしっかり引き継いでいくための保全活動をしながら歩み続けています。その中で、富士山世界文化遺産登録二周年を記念し、あらためて環境保全の重要性の認識を高めていただくことを目的に、来る六月二十一日、「さくやホール」において、環境問題、国際交流など多分野で精力的に活躍されているアグネス・チャンをお招きし、記念講演を行う予定としています。
 世界文化遺産・富士山の麓で、世界で活躍できるグローバルリーダーの育成を目指すことを目的とした、文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール」の指定校に準ずる「アソシエイト校」に富士河口湖高校が選ばれました。世界遺産登録を契機に外国人来訪者が増加している国際観光地として、実践的なコミュニケーションの能力の向上や国際的に通用する力をつける大切な機会であると大いに期待をするものであります。
 山梨県が発表した今年一月から三月の宿泊旅行統計調査結果によると県内の宿泊者延べ人数は約百七十万人に上り、前年同期に比べて三十一・六%増加し、伸び率は全国で最も大きく、このうち外国人の延べ宿泊者数は約三十一万人で、前年度比七十六・一%の増となりました。その要因は、円安等があげられますが、富士山世界遺産登録を契機とした富士山麓の魅力が世界中に徐々に浸透してきた喜ばしい結果でもあるとも考えられます。そのなかで、国の事業である地域の観光資源の発掘を目指した「関東観光まちづくりコンサルティング事業」に富士河口湖町と富士宮市が選定されました。県をまたいだ形で選定されるのは初めてであり、私が目指していた広域的な連携のもとでの観光振興の一助となり、富士西麓エリアの魅力をPRする絶好の機会であると捉えています。
 また、世界遺産関連事業として、江戸時代に隆盛した富士構の巡礼路を活かした散策コースの設定やツアーの企画など、通年型や滞在型の観光を目指す誘客プロジェクトを山梨県と北麓市町村が始めることといたしました。富士山の価値を理解していただく新たな観光施策として早期に確立することを望むものであります。
 今後の観光関連事業は、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け様々な施策を展開し、国際観光地である富士河口湖町の魅力をさらに世界に発信し続けなければならない大事な時期であると新たな決意をしたところであります。
 次に、ICT教育推進についてです。当町は本年度から町内の小学四年生から六年生までの全クラスに算数と理科の電子教科書を配備し、昨年度、小学四年生から中学三年生の全クラスに配置した電子黒板と合わせて、各教室で情報通信技術(ICT)教育を行える環境を整えました。これにより、子どもたちの学力向上と教員のスキルアップにつながる県内の公立小中学校では先進的な取り組みであると評価されております。
 今後も、町の宝である子どもたちの教育環境や保育・幼児教育環境の充実ため、船津小学校改築事業や船津保育所改築事業をはじめ、ハード・ソフト事業を織り交ぜた有効な施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、「町民福祉館ふじやま」についてです。高齢化の進展と幅広い福祉ニーズに対応するため、社会福祉協議会で行われている通所介護サービスに加え、新たに小規模多機能型居宅介護サービスに対応できる設備や寝たままで入浴できる「特殊浴槽施設」を備え、社会福祉協議会事務所も併設した福祉機能が充足した施設が完成しました。小規模多機能型居宅介護事業は、通いを中心とした利用者の様態や希望に応じて、随時訪問や宿泊を組み合わせてサービスを提供することにより、利用者の居宅における生活の継続を支援するものです。
 当該地の福祉ゾーンは、当施設をはじめ、健康プラザ、健康科学大学リハビリテーションクリニック、ふれあい子ども館や社会福祉法人が運営するパル・パルなど福祉関連施設が集積されており、町の福祉の核となるエリアであります。今後とも、人々が集い、語り合う交流の場として幅広く有効に活用していただくことをお願いする次第であります。
 結びとなりますが、本年度は地方創生元年であり、当町にとっては大きな変革の年になることが想定されます。前述しました、人口ビジョンや総合戦略の策定、過疎地域自立促進計画・辺地総合整備計画の策定、固定資産台帳・公共施設等総合管理計画の策定に加えて、行政サービス向上のための大胆な行政組織改革の素案の策定、教育委員会制度の改革、船津小学校、船津保育所建設の基本方針の決定、ステラシアターの運営方針の決定、いやしの里根場の指定管理者制度への移行など、町の根幹を成す政策課題を克服し、持続可能な健全な行財政構築の足がかりになる年度とするために、職員の優れた力を集結させ、議員各位や住民の皆様と一体となって議論を重ね、さらに使命感を持って不退転の決意で実行し邁進してまいる所存であります。何とぞ、御支援と御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
それでは、今議会に提出いたしました議案について御説明いたします。提出案件は全部で十八件であります。内訳は、平成二十六年度予算繰越明許費繰越計算書の報告が六件、条例の一部改正が四件、町道の路線認定が一件、特別会計補正予算が六件及び一般会計補正予算であります。
そのうち、平成二十七年度一般会計補正予算(第二号)について御説明いたします。
今回の補正は、既定の歳入歳出予算の総額に一億六千五百四十七万一千円を追加し、歳入歳出の総額を百十億七千四百六十四万一千円とするものです。
継続費については、新公会計制度に伴う固定資産台帳整備事業と公共施設等総合管理計画策定事業を平成二十七年度と平成二十八年度の二ケ年にわたり行うために設定をお願いするものです。
歳入の主なものを御説明いたします。
国庫支出金三十二万八千円を減額し、県支出金百五万三千円、繰入金二百六十三万六千円、繰越金一億二千五百七十一万円、諸収入一千三百万円、町債二千三百四十万円をそれぞれ増額いたしました。
次に、歳出の主なものを御説明いたします。
総務費については、マイナンバー制度導入に伴う例規整備支援費用九十万円、新公会計制度に伴う固定資産台帳整備業務委託料一千八百万円、公共施設等総合管理計画策定業務委託料六百万円、ふるさと応援寄附基金積立金百十九万円、世界文化遺産保全推進事業費八十万円を計上しました。
民生費については、旧デイサービスセンター解体工事に伴う委託料百四万円、介護保険特別会計繰出金五百八十五万六千円、大石福祉センター修繕工事費九百七十一万六千円、芙蓉の湯」通路屋根取付工事費百五十万円、臨時福祉給付金給付事業二千五百七万七千円を計上しました。
農林水産業費については、河口湖自然生活館エアコン取替工事費五百二十八万七千円、商工費については、いやしの里周辺への梅の木の植栽工事費など二百七十五万二千円を計上しました。
土木費については、雪解沢沿線ガードレール設置工事、雨水対策工事測量設計委託料、町道舗装修繕工事、雨水対策工事、道路新設改良費、農道整備事業費など五千六十九万六千円を計上しました。
教育費については、大石小学校フェンス移設工事費四百二十万円、町文化財・精進地区龍泉寺修繕工事補助金三百六十万円、富士山河口湖音楽祭実行委員会補助金一千九百七十五万三千円を計上しました。
 以上、雑駁な説明で恐縮ですが、本定例会に上程しました平成二十七年度一般会計補正予算(第二号)案の説明とさせていただきます。 詳細な内容や特別会計につきましては、各常任委員会において担当課長から説明させていただきますので、ご審議のうえご議決を賜りますようお願い申し上げます。

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