平成23年6月議会 施政方針

本日、ここに、平成23年度第2回富士河口湖町議会定例会が開催されるにあたりまして、町政に対する所管の一端と併せて提出いたしました議案の概要について説明をさせていただきます。 

3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」により、多くの人命が失われるとともに、多くの方々が罹災され不自由な避難生活を余儀なくされております。その後の余震による犠牲者を含めますと、死亡者は15,000人を超え、また、およそ9,000人の行方不明者がおられると報じられています。
加えて、東京電力福島原子力発電所の重大な事故をめぐっては、憂慮すべき事態が続き、周辺住民には、不安にさいなまれた厳しい避難生活の長期化が懸念されています。
町村の代表であります全国町村会長の藤原会長は、未曾有の国難とも言うべきこの事態を乗り越えるため、地域社会の復旧・復興と原子力災害対策についての緊急要請を、政府、民主党、自由民主党、東京電力に対し、行って参りました。
東日本大震災から早期復旧・復興を目指すため、政府が打ち出した平成23年度第1次補正予算が総額4兆153億円という規模で5月2日に成立したところであります。
今後、被災地の復旧・復興に向け政府が一丸となって取り組んでいただき、避難生活を余儀なくされている大勢の方々が安心して暮していける対策を早急に講じていただきたいと思っております。
 
次に、世界文化遺産登録における富士五湖名勝指定の答申についてであります。
平成23年5月20日に国の文化審議会から富士五湖を名勝に指定することが妥当であるとの答申が出されました。町内の河口湖、西湖、精進湖、本栖湖を含む富士五湖が国の代表的な風景をもつ名勝としての価値が高く評価されたものと理解し、大変光栄で誇らしいこととして受け止めています。日本国内で名勝に指定された湖は、これまでに青森県と秋田県にまたがる十和田湖と福井県の三方五湖の2件しかなく、富士五湖が3例目となります。これまでの2つの例は戦前の史蹟名勝天然紀念物保存法という古い法律のもと、関係者から同意を得ることなく国から指定されたものであり、戦後に施行された現在の文化財保護法による湖の名勝指定は富士五湖が最初となります。文化財の指定には土地所有者や権利を有する関係者から同意を取得しなければなりませんが、湖の名勝への指定に当たっては権利をもつ関係者が多いことから、すべての同意を得ることが困難であるため、戦後には指定される例がありませんでした。富士五湖の文化財指定につきましては、本年1月末の文部科学大臣への意見具申の提出までに、町内の160件を超える方々からの同意を取得することができました。多くの関係者のみなさまのご理解とご協力に対しまして心より感謝を申し上げます。日本を代表する名勝の湖として誇りをもち、富士山の世界文化遺産登録の重要な構成資産として、世界に発信していきたいと思います。
 
次に、観光関係では、この度の東日本大震災により、観光業及び観光関係事業や製造業等への影響は甚大であり、非常に深刻な状況にあります。このため4月8日には県知事に対し、町の現状を報告するとともに、計画停電、融資制度、修学旅行等の教育旅行、観光客誘致活動などへの県としての支援を要望いたしました。また当日は、風評被害を払拭するため、知事による「安全宣言」等のメッセージの発信や旅行会社への誘客活動の要請も行いましたが、これがその後の都内大手旅行会社への知事トップセールスにも繋がったものと思っております。私も、全くゼロとなった関西・中京方面からの修学旅行等の教育旅行への営業活動とともに観光の動向等の情報収集のため、4月25日と5月10日に大手旅行会社を訪問いたしました。その際、風評被害を払拭するため、町の安全性を伝えるとともに誘客をお願いする要請文と併せ、知事からの要請文も渡してまいりました。
大震災により観光を取り巻く状況には、新たな変化があり、これから夏に向けての対応も必要となります。6月20日からは高速道路の休日上限1,000円や無料化社会実験が廃止されることとなりました。また、国から夏期の電力需給対策についての方針が示され、その中の節電対策の一つとして「夏季の休業・休暇の分散化/長期化、家庭における外出/旅行の推進」が節電に有効であるとされております。つまり、休業・休暇の分散化は観光地の混雑緩和になり、長期化は長期滞在型の旅行となり、家庭では一緒に外出・旅行することが節電になると例示されております。このため、我が町でも、夏の観光客の誘致を積極的に行うため、新宿駅を始めとする中央線沿線の各駅や都内各地において、7月3日と4日に観光事業者とともに全町を挙げて「首都圏観光キャンペーン」を実施いたします。

次に、プレミアム商品券の発行についてですが、前回もご協力をいただいております河口湖商工会の事業所区域である鳴沢村と共同で行います。プレミアム分を15パーセントとして10,000円で11,500円分購入できる商品券を、富士河口湖町が1万セット、鳴沢村が1千5百セット、7月末を目途に発行いたします。震災後の消費への自粛ムードもある中、1億3,225万円が地域で消費されることとなります。
次に、「商工振興災害対策資金貸付制度」についてであります。東日本大震災後の観光客の激減により、経営が逼迫している観光を始めとした商工業事業者の経営の安定と雇用の確保を図るため「商工振興災害対策資金貸付制度」を創設いたしましたが、多くの申請があり改めて厳しい経営状況であることを感じたところであります。この制度を有効に活用し、立ち直りに向けた支援になればと願っているところです。
 
次に、本年4月からスタートしたコンビニ交付・広域交付の事業についてであります。
本事業は、住基カードの推進を図るため、ICカード標準システムを使い五市一町〔笛吹市、甲州市、韮崎市、南アルプス市、富士吉田市、富士河口湖町〕で共同利用し、山梨県市町村総合事務組合でシステムの構築をしてまいりました。この事業は住基カードを使い業務時間外や休日に「住民票の写し」や「印鑑登録証明書」の発行ができ、しかも、身近なコンビニであるセブンイレブンでこれらの証明書が取得できるということから、住民サービスの向上が図られることになりました。4月1日から1ヶ月間の状況でありますが、住民票の写しの交付件数が22件、印鑑登録証明書の交付件数が10件ありました。今後も身近なコンビニでの交付が増えることを期待しているところです。また、住基カードに図書館アプリケーションを搭載することにより、平成24年秋開館予定の山梨県立図書館を利用することもできるようになります。
 
次に、農業振興についてであります。
大石地区のサクランボの摘み取りは、6月18日から7月上旬まで行われる予定ですが、今年は、開花時期の最低気温が、平年と比較し2度程高く、また5月上旬の満開の時期の天候も良好で、人工授粉作業も順調に実施できたため、サクランボの生育状況は、例年と比べ結実もよく、大きく真赤に育つサクランボが見込めます。
良質で甘味のあるサクランボの人気は高く、訪れた来園者からも高い評価を受けております。
サクランボの摘み取りの予約状況ですが、既に、5月末日において、首都圏方面から大型バス60台の予約が入っております。また、家族連れの来園者も多く訪れることが期待されるところです。
 栽培管理を担う地元生産組合の奮闘努力により、観光と農業を結びつけた地域農業の活性化を図る取り組みが更に拡大していくものと期待しております。
 
次に、GIS(地理情報システム)の導入についてであります。
地理情報システムは、地図上に様々な情報を入れ、町のデータ管理の一元化を図ることにより、これまで図面・台帳等で個別に管理された情報が数値データとして、それぞれが関連付けられた状態で管理できるようになります。必要な課税客体情報の検索や各種図面の表示などが容易になり、調査業務、評価業務など利用目的に応じた資料・情報も迅速に得られます。特に、資産評価の根源となる土地の現況利用状況の把握はもとより、家屋の新築や増改築等の課税客体の経過を正確かつ効率的に情報管理ができ、税の基本原則である公平・公正な賦課に対して的確な把握が行え、固定資産税等全庁体制で取り組める総合的地理情報システムとして、事務の効率化が図られるようになります。

次に、介護施設の充実についてであります。
日本は、世界に類を見ない速さで本格的な高齢化社会へ突入していますが、今後も65歳以上の高齢者の割合はますます増加していくものと思われます。当町の高齢化率は20パーセントを超えており、寝たきりになるなどの介護を必要とする要介護認定者の数も年々増加傾向にあり、家族を介護するために仕事を続けられず、やむなく会社を辞めたり、転職を繰り返す人が急増してきております。
このため町では、地域の介護ニーズに対応するため、昨年、介護基盤緊急整備特別対策事業を活用する中で、民間から事業者を募り、地域密着型小規模特別養護老人ホームを平成24年度当初のサービス開始を目指して、取り組んでいるところであります。
更に、今年度は、要介護者・要支援者を毎日介護する家族がその介護から一時的に開放される、という大きな役割を担うデイサービス事業(通所介護事業)を足和田老人福祉センターの一部を活用し、民間事業者を公募して、進めていくこととしております。事業者の選定につきましては、選定委員会を立ち上げ町のホームページなどで公募する予定ですが、6月から受付を開始し、書類審査等を経て事業候補者を選定して参ります。平成24年度にはサービスの提供が開始できるよう進めているところです。
この施設は、入浴等の提供、日常生活に関する相談や助言、健康状況の確認等日常生活上の世話などを行い、利用者の能力に応じたサービスを提供することを目指すものであります。
 
次に、指定管理者制度についてであります。
本年度の課題であります「公共施設の指定管理を含めた管理のあり方」につきまして、現在、各施設の担当課及び富士河口湖ふるさと振興財団と協議を重ねているところでございます。
各施設の管理方法につきましては、6月中に方針を固めたいと考えております。
また、指定管理者制度を導入する施設につきましては、諸手続きを経て本年12月の定例議会に上程し、来年4月からの管理運営に備えたいと思います。
 
次に、健康科学大学との連携についてであります。
大学と地域が連携し、大学の有する専門知識を活用することで、地域を元気にする取り組みが全国各地で行われておりますが、本町でも健康科学大学と連携し、各種事業を進めております。
この取り組みの一環として、今年度から新たに役場職員が講師となる講座「地域連携の理論と実際」を大学に開設しました。学生目線で富士河口湖町のまちづくりを考えていただき、学生には正式に単位も与えるものです。
この他これまでも続けております、地域連携講座や子育て支援、高齢者対策、各種ボランティア活動なども大学の先生や学生と協力しながら更に進めてまいります。
それでは、今回提出いたしました議案等についてご説明いたします。
提出案件は全部で16件でございまして、内訳は、繰越明許費繰越計算書の報告が1件、事故繰越し繰越計算書の報告が1件、条例の一部を改正するものが4件、町道の路線認定が1件、補正予算は特別会計8件と一般会計でございます。

提出させていただいた補正予算のうち一般会計予算の補正の概要についてご説明いたします。
今回の補正額は、1億8113万6千円を増額して、総額108億5884万7千円とするものであります。
歳入の主なものは、国庫支出金の土木費補助金の内、乳ヶ崎線拡幅整備事業の事業費の増に伴い、社会資本整備総合交付金として、3603万6千円を増額しました。また、出口線新設改良事業の事業費の増に伴い道整備交付金を3、275,000円増額しました。

繰入金のうち、財産区繰入金では、船津地区の少年野球団ユニフォーム等購入補助金の財源として、船津財産区繰入金を248,000円増額し、小立地区の少年野球ユニフォーム等購入補助金の財源として、小立財産区繰入金を300,000円増額しました。また、町指定有形文化財である精進地区の諏訪神社社殿の屋根の葺き替え等の事業に対する文化財保護事業補助金の一部財源として、精進財産区繰入金を100万円増額しました。
町債では、出口線新設改良事業の事業費増に伴い、合併特例事業債の道路整備事業債を310万円増額し、乳ヶ崎線拡幅整備事業の事業費増に伴い、土木債の内、道路整備事業債を2,210万円増額しました。また、防災行政無線野外子局の増設事業に伴い、消防設備整備事業債を1,500万円増額しました。
特定財源で充当しきれなかった分については、繰越金97,457,000円の増額としました。
次に歳出ですが、まず各款にまたがっておりますところの給料、職員手当、共済費については、4月の人事異動によるものです。

主なものについては、総務費のうち財産管理費では、富士山世界文化遺産登録推進事業基金に5万円、クニマス推進事業基金に70万円の積立を行います。
戸籍住民登録費においては、住基カードの発行増によるカードの追加費用を599,000円増額しました。
保育所費では、災害時非常備蓄食の購入費118,000円を増額したほか、河口保育所の給排水施設の修理費等の修繕費に85万円、小立・船津保育所の停電時における水道確保のため水道管のバイパス工事と小立保育所の避難用滑り台の改修工事費を878,000円増額しました。

衛生費では、食育推進計画策定経費として、計画策定委託料など2,765,000円を増額しました。
農地費では、富士ヶ嶺バイオセンターの醗酵施設の修繕費として、11,869,000円を増額しました。
土木費のうち、道路橋梁総務費では、小立区画整理事業地商業施設内道路用地取得費用として4千万円を増額しました。この取得費用は、今年度より平成27年度までの5ヵ年での費用負担で総額2億2千万円を予定しており、来年度以降の取得費用については、債務負担行為をお願いするものでございます。
道路新設改良費では、乳ヶ崎線拡幅整備事業費として、66,158,000円を増額し、出口線新設改良事業費として、6,551,000円を増額しました。

消防費のうち、災害対策費では、防災行政無線野外子局増設工事費を2千万円、子局移設補償工事費を235万円増額したほか、非常用自家発電機8台の3ヶ月分のリース代を3,043,000円増額しました。
教育費のうち文化財保護費では、町指定有形文化財である精進地区の諏訪神社社殿の屋根の葺き替え等の事業に対する文化財保護事業補助金として、6百万円を増額しました。
文化施設管理費では、計画停電等に備えステラシアターの電源切替盤設置工事費を893,000円増額しました。
保健体育総務費では、船津少年野球団ユニフォーム等購入補助金として、248,000円、小立少年野球ユニフォーム等購入補助金として、30万円を増額しました。
諸支出金では、土地取得費として、山梨県土地開発公社に取得委託した庁舎等建設用地取得費用を17,044,000円増額しました。
以上、雑ぱくな説明で恐縮でありますが、本定例議会に提出いたしました議案についてご説明いたしました。
説明し切れなかった項目や細かな内容等につきましては、本会議あるいは各常任委員会の場において担当課長から説明させますので、よろしくご審議いただきご議決賜りますようお願いいたします。

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